不毛

 ――テレビの喧騒で目を覚ます
 どうやらいつの間にか眠ってしまったらしい。眠い目を擦り、ベッドから上体を起こす。カーテン越しの外の風景は未だ深い闇に包まれている。珍しく早起きをしてしまったようだ。
 ふとテレビを見ると、どこかで見たタレントが台場の料理店を紹介していた。小洒落た店で小洒落た料理に舌鼓を打つ。その姿に刺激された僕の胃は、もう何も入ってねえよ! 胃液しか出ねえよ! とうめき声を上げた
 よし、飯を作ろう。と重い身体に渇を入れ、立ち上がる。ちょっとした立ち眩みの後、僕の脳がようやく全身の神経に活動を命じた。まぁたまにはこんな朝もいい
 大きく伸びをし、体中の筋を伸ばし、冷蔵庫を開けた。ロクな物が入っていない。軽い自己嫌悪の後、冷凍庫から小分けにしたご飯を取り出しレンジに入れた。ぶぅーんと鳴り始めた鈍い音を聞きながら、棚から鮭茶漬けの元を取り出す
 ……何かがおかしい。その何かが何かはっきりしないが、漠然とした違和感が僕の脳を走った。何がおかしいのか? 毎日変わらない朝の風景のはず。料理の内容こそは違うものの、毎日毎日が大体こんな朝だ。冷蔵庫の中身も昨晩から変わっていない。起きたら隣に知らない女ということもない。今日、この瞬間に感じる違和感は……
 その時、脳髄を走る電流。たった一つ、だが確実な違和感。瞬間僕を襲う落胆
 僕の記憶に残る光景。知らずに眠りに落ちるまでの光景。僕の最後の記憶が夢ではない限り、違和感の原因はここにある……
 そう、僕の記憶が正しいのなら、眠りに落ちたとき、東の空は既に白ばんでいたはず……
 なら、この外の漆黒は? 全てを溶かす闇の正体は――
 ということでこんばんわ。せっかくの休みなのに起きたら18時でしたヒャッホウ
 あまりにもあんまりなので我が目を疑いました。何コレ? まだ夢の中? と呟くくらいの衝撃ッ!
 今日は散髪したり買い物したりと予定はあったのに……orz